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走る物流マンの給水所

走る物流マンの給水所

第3戦は泥んこレース!!

第三戦は泥んこレース!!(Tops-Field-6hours)


スタート前 空港にて


今シーズンの第三戦はNYから離れ、マサチューセッツ州Bostonの郊外まで遠征してきました。そこで、なかなか得難い経験をしました。
日本では報道されませんでしたが、5月12日から翌週にかけて、ニューイングランド地方(米国東北部)を襲った集中豪雨のせいで、レース会場周辺(マサチューセッツ州中部)は至るところで川が氾濫、通行止めの箇所も多数でて、大変なことになってました。

レースは日曜日開催だったため、飛行機で土曜日の午後Boston入り、レンタカーで現地に向かったのですが、途中、ワイパーをフル回転させても前が見えないほどの豪雨のため、車のスピードを落さざるを得ませんでした。それでもその日の夕方、現地に一応、下見に行ったところ、トレイルコースはほとんど小川状態。近くの湖とほとんど境界線がない有様で、おまけに気温が3~4℃と日本なら真冬の寒さ、風も強く、体感温度はマイナス、試走も出来ず、すごすごホテルに引き上げました。

クラブハウス ホテルをちらっと
クラブハウス                              ホテルをチラッと

夜中も雨は降り続き、翌朝も相変わらずの状況。一応レースに備えて早く寝たので、それなりの時間には目が覚めましたが、レースは中止と勝手に決め込み、ホテルでの朝食もワッフル1枚とコーヒー、バナナ、いつものレース前の半分程度で簡単に済ませました。
NYへの戻りのチケットを午前中の便に変えねばと思いつつ、参加費も支払い、折角ここまで来たことだし、Tシャツの1枚でも貰って帰ろうと、一応現地に行くことにしました。

ところが、池のような駐車場に車をとめて、隣の車から降りてきた人に聞くと、レースは予定通り決行される、というのです。参加者の皆さん、平然とレース受付会場まで、大雨の中、傘をさして歩いている。(ちょっと待ってよ。。)
レース自体は6時間走で、1周5.2kmのトレイルを時間内にどれだけ走れるかというもの。アップダウンあり、途中、急登も2箇所ありますが、トレイルとしては、まあこんなものでしょう。
問題はコース一面の水。水溜りというより、小川状態です。小さな川にかかった橋の上を川の水が流れている、という有り得ない風景。。勿論、コースの半分以上、3キロくらいは相当ゆるいがなんとか走れるとはいえ、残りの部分は足首まで完全に水没する箇所ばかり、元気なときはバシャバシャ行くとしても、後半は一体どうなるんだろう。。

道路も水浸し
道路も水浸し


普段からあらゆる天候を想定してウェアは複数パターン用意しているのですが、こんな大雨は想定外ですし、そもそも最初からそんなウェアはもってません!(怒)
一番したのウェアの上にゴミ袋に穴を開けたものをスッポリかぶり、その上に帰り用に確保したウェア以外のすべてを重ね着しました。この際、格好なんて構ってられません。
周囲を見渡せば、ゴアテックスの完全防備の羨ましいウェアを身に着けている人、ランパンランシャツの人(さすがに早めにリタイアしていた)と様々な出で立ちのランナー達。

朝の9時スタート。気温は摂氏5℃。寒さはともかく、末端冷え性のヒライ選手としては、足と手指の冷えが気になって仕方ありません。さすがにDNSの選手も多かった様ですが、それでも数十名のウルトラ変人達が嬌声をあげて、スタートラインに並びます。
(その中でも飛行機まで乗って、NYから参加した極めつけの変わり者は誰?)
こんな時、いつも感じるのはアメリカ人達のプラス思考というか、底抜けの明るさ。
人間ですから、寒いし、冷たいし、走る前から皆さん、上と下の歯が合わずにガタガタ震えているのですが、よっしゃー走るぞー、てな感じで、大はしゃぎです。
よく分かりませんけど、この自然と環境を受け入れて、目一杯楽しむぞー、こういう発想なんでしょうか。

水浸しのトレイル
水浸しのトレイル

ということで、ワオー、ギャーと大声を出しながら、スタート。
早速、水の中をジャブジャブ、バシャバシャ。ものすごい水しぶきが前から横から。最初の内は、濡れることを気にしてましたが、上から大雨、下から水しぶきで、すぐにどうとでもなれ状態。
初参加ですので、コースの様子も分からず、前から15番目くらいをゆっくり走ります。
途中、橋のない川を渡る箇所あり(本当は川じゃないんですが)、膝の上まで水につかって、向こう岸に渡る。さすがにこれは危険ということで、2周目の時にはコース変更になり、ヤレヤレ助かった。
冷えるとすぐお腹をやられるので、早速、1周目を終えたところで、トイレタイム。
ところが問題発生。悴んだ手指では、重ね着したウェアを脱いだり、めくったり出来ない!!トイレの中で悪戦苦闘、要を足した時は既に10分経過、大半の選手に抜かれてました。2周目が終わってからも、またまたトイレタイム。何しにこんなところに来てんだろ、と多少疑問に思いつつ、CWXを下げるのに一苦労。結局、紐は結べないまま、6時間を走りきることに。。
タイムを見る余裕も気持ちもないまま、4周回を終え、エイドステーションへ。雨の中ではエイドの人が凍死するので(?)、暖かいストーブのある、クラブハウスが急遽、エイドステーションに様変わり。チキンヌードルスープをゴクゴク、やれやれ、落ち着いた。
手持ちのアミノバイタルとウィダーインゼリーを流し込み、2周毎に寄ることを決め、再び雨の中へ!順位は全く見当もつかないが、ここ2周でかなりの人を抜いてきたのと、4周(21キロ)でリタイアする人も複数おり、それなりのポジションに居る感じはした。

コースの状況はランナーが走る場所が集中するため、更に悪化。むしろ、水が深いところの方がむしろ安全、で水の無い土のところは泥沼状態。
気をつけておかないと、泥に足をとられ、大転倒しかねない。。と思っていたら、7周目に入り、疲れが出始めた頃にやってしまった。泥に突っ込んだ右足が引き抜けず、もがいている内にバランスを崩し、大転倒。辛くも、両腕で支えたので、上体を泥の中に浸すという最悪の事態は回避したが、顔と腕が泥だらけ。。
靴の中にも泥が入ってしまい、このままじゃ走りにくい、と思いながらもヤケクソで水の中を走っていると、水の中に隠れていた樹の根っこに引っ掛かり、またまた大転倒。
今度は腕で支える暇もなく、体中が水の中に。。おかげさまでキレイになりましたとさ。

手前がトレイル、向こうは湖
手前がトレイル、向こうは湖


それでも何とか8周を走りきり、クラブハウスに一目散。丁度、フルマラソンくらいの距離を走ったことになるが、泥だらけの時計を見ると、タイムは4時間20分程度。
さすがに泥の中を歩いたり(転んだり)してるので、スピードは出ていない。
レースは6時間走なので、残った1時間40分でどれだけ走れるか、考えるまでもなく、
せいぜい2周か3周というところ。まあどっちでもいいや、ということで再び雨の中へ。

この頃になるとコース上をひつこく走っているランナーは3分の1程度!?自然をありのままに受け入れるアメリカ人達、現実もそのまま受け入れるのでしょうか?
早々に着替えて家路につく人も多い。。最初に車を停めたところが、コースの途中なので、車の数が減ってゆくのは何とも寂しい限り。
それでも残った極めつけの変人達、コース上のすれ違うポイントでハイタッチや声をかけあい、疲れの溜まってきた身体を前に進めます。
9周目の後半に入ると、一層疲労で脚の運びが遅くなりました。スピードダウンが起こると体温も下がり、更に寒さが身に沁みます。
10周目に入るときに係員の人に周回の途中で時間が来たら、どうするの?って聞くと、キリのよいところでお終い!とのお答え。なんだ6時間走じゃないじゃない、と言いたくなったが、多分この雨の中、ルールも臨機応変に、ということだろう。
頑張れば、11周目にも入れそうだが、10周目のタイムが悪いとそれで終わりか。。なんて考え始めるともう駄目です。キロ7分を上回る大幅なペースダウン。
10周目が終わる頃に時計を見ると、5時間50分近くになっている。どうあがいてもあと一周は無理。ということでタイム計測をしている小屋に飛び込むと、一同からお疲れさん!とレースの終了を告げられました。何だかゴールの無い、レースの様で変な感覚でしたけど、まあ完走ということでしょうか。

荷物のある暖かな部屋に戻っても、寒さは収まらず、トイレに入って着替えるのですが、例によって、悴んだ手指では時間のかかること、かかること。汚れていないシューズをこの汚い足で履くわけにはいかないので、取り敢えず、その辺にあるサンドイッチでお腹を満たし、車に戻りました。靴を脱ごうと思い、靴を引っ張ってもなかなか足が抜けません。思いっきり、足を引っ張ったところ、あれまビックリ、足と一緒に泥の固まりが靴の中から!靴下を脱いだら、これまた泥の固まり!一体、何百グラムの重石を足で運びながら、50キロ以上も走り続けたのか、と思うと無性におかしくなってしまった。

後日、知ったレース結果によれば、完走者はたったの20名程度。順位は52キロで5位となっていました。まあ順位やタイムはともかくとして、あの環境で、最後まで走り抜いた、自分の精神力を褒めてやろうと思います。
出来たら、次の遠征ではまともな環境で走りたいものです。(笑)



次の瞬間には大きな水溜りで靴がキレイに。。
途中、泥沼に両足をとられ、身動きできなくなること2回、大転倒1回、小転倒1回、終盤は冷えのために著しく、スピードダウンしましたが、何とかコースを10周、52キロを5時間50分で走りきりました。練習の成果は??ですが、この逆境下で棄権もせず、走り続けることができたのでよし、とします。

レースレポートの予告編(?)としては、少々長すぎましたが、野辺山に向けてのヒライのメッセージです。100キロの道のりは遠いです。途中で気持ちや心が揺れることもあるでしょう。でも、その辛さや苦しさを受け入れ、楽しんでいただきたいと思います。きっとゴールはその向こうで待ってくれています。

僕も昨日レースの終盤で少し、その辺の真髄を垣間見たような気がします。俺はこんなにあほくさく、しんどいことをメゲずにやってるぞ!って思うと何だか嬉しくなってきました。水溜りも大雨も自分の身体の痛さも、ありのままに受け入れてた自分を見つけました。


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